ひとさしゆび

私は人を指差さない。

「人を指差しちゃいけません、指三本は自分の方を向いてるんだからね」

そういって子供の教えてくれたのが祖父だった。

これは誰かを指差して、糾弾したり批判してはいけないってことなんだろう。
1本の指で指しても、3本分は自分に跳ね返ってくるし、親指1本は的が外れているよ、と。

迷信だろうがなんだろうが、自分に向けられた言葉。
祖父の声を聴くことは二度とはないけど、この言葉を思い出すとき、確かに心に響く。

そんなこともあってか、人と会うと必ず手と指に目がいく。
そして私には好きな手の形や指の細さがある。
それは少し筋張っててどちらかというと細面な感じ。

人を指さすには、いささか繊細過ぎるような、そんな手と指。
それが子供のころから、そんな指がずっと好きだった。
私の手は好きな手とは違ってあまりきれいではないけども。

自分の手と指をお風呂上りにじっと眺める癖がある。
時折、一本ずつ指を折ったり、グー・パーしながら指の動きを確かめる。

人を指さないそのひとさしゆびを眺めながら、祖父の言葉を思いだす。
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